《MUMEI》

◆◇◆

 ゆらり。

 ゆらり。

 平安京に蠢く影。

 姫君の後に続くもの。

 鬼門より出し妖。

 風貌は百匹百色。

 大鬼、小鬼。

 獣のような、人のような。

 龍のような妖もいれば、何ともつかぬ姿をしたもの達もいる。

 それらが列を組み、ゆらり、ゆらり、と動き続ける。

 後ろを振り返ると、妖達が実に楽しげにしている事に気付き、夜桜は微笑を浮かべた。

(彩貴も来るといいのだがな‥)

 だがその頃、彩貴は未だ邸に止どまっていたのだった。

◆◇◆

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