《MUMEI》

◆◇◆

 夜桜が率いる妖行列は平安京の路地をうねり、ゆらゆらと焔を揺らして進み続ける。

「なかなか楽しげだな」

「? ‥彩貴」

 夜桜は目を見張る。

「お前‥来てくれたのか」

「こいつに急かされてな」

 彩貴の傍らには月裔がいた。

 夜桜は嬉しそうに笑い、再び妖達をを引き連れて歩き出す。

 ぴょこん。

 小さな妖が、彩貴の肩に飛び乗った。

 彩貴は刹那驚いたが、その妖を肩に乗せたまま歩き続ける。

 しゃん。

 しゃらん。

 妖達が鈴を鳴らす。

 ゆらり。

 ゆらり。

 影が揺れる。

 恰も祭で山車や山鋒(やまぼこ)を引いているかのように賑やかだ。

◆◇◆

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