《MUMEI》 「あのさ……俺、フラれたみたい。 か、身体の相性が良くなかったって…………」 二郎からの思いもよらぬ発言、抱きしめていると余計伝わる震えた声。 「馬鹿、だからってこんなことするな。 その女一人の言葉くらいで二郎は死なせない。 二郎の良さを分かってくれる人間は腐るほど居るから、巡り会わせなんてこれから幾らでもあるさ。 だから、今は泣いてすっきりしな?」 その女、何様のつもりなんだ。 二郎と付き合ってほしいと願い出て、自分から振るだなんて。 肩を濡らす二郎の涙でそいつを殺してやりたい。 七生が知ったら殴りに行こうとするかもしれない。 可哀相な二郎。 泣いて忘れておしまい。 前へ |次へ |
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