《MUMEI》

 



「乙矢、ありがと……いつも傍に居てくれて。
でも、いつか自分で一人で頑張れるようになるからね……、弱いままじゃ誰も好きになってくれない。」

なんだ、泣いているだけじゃ終わらないのか。
二郎は自立しようとしている。
いつか、この腕の中で甘えてくれることも無くなるのだろう
……感傷に浸ってしまう。


「そうか……頑張れ、頑張れ二郎……。」

エールをくれてやった。


「乙矢くるし……」

苦しくもなるだろう。
抱き納めかもしれないんだから。




なんだか、育てた小鳥が巣立ってしまう感覚。










嗚呼、なんだかあいつに無性に会いたいじゃないか。

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