《MUMEI》 「ありがとな!」 こんな安物でも、屈託なく笑う。 七生のこういうとこ、大好きだ。 「……馬鹿」 でも、初めての親御さんとの顔合わせに学ランを着てしまうなんて…… 気配りが足りないな。 「なんで殴る!」 一発殴っただけじゃ足りないくらいだ。 「自分の胸に手を当ててみろ!」 全く自分中心なんだから。 「ははは、仲良しだね。」 北条さんは実に愉しそうだ。 「俺の家族みたいなもんだから!」 七生は堂々と言ってくれる……恋人同士のことも漏らされそうでハラハラする。 「……ただいま。」 玄関から聞き覚えがある声がした。 「あれ、神部……」 何故、北条さんの家に神部が?! 前へ |次へ |
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