《MUMEI》 四十四夜 思へば、懐かし◆◇◆ 「どうした、しんみりとして」 遠くを見るように闇の帳を見上げていた姫君に、傍らにいた七尾が尋ねた。 夜桜は狐叉の背を撫でてやりつつ懐かしげな表情を浮かべる。 「今思うと‥お前と出会ったのは本当に‥」 「ああ、定めだったのだろうな」 狐叉が言うと、夜桜は微笑した。 この姫が人並み外れた霊力を持って生まれた事も、この七尾や妖達と関わってきたことも、全て、始めから定まっていた事なのだろう。 「狐叉」 「‥?」 「有難う」 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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