《MUMEI》

赤高ボール。


(俺がロングを打てれば…)


今、赤高に有効な手はロングシュートしかない。


それを気付いていた椎名。


本来ならば上のポジションである椎名もロングを打つことを要求されるが、


身長のない椎名にロングは打てなかった。


そして、今の赤高はロングを打つしかないということは、


二ノ宮と桜井も気付いていた。


「突破力があればな。」


「シュートが速いのは認めてやるけど、


あんな形でしか打てないようじゃダメだね。」


「さっきセンターがクロスにいった時に打つべきだったな。」


「それもあるけど…」


「?」


「センター…


あのチビは気付いてる。


ロングが有効って。


それを打てないあいつの責任だ。」


(俺を倒してNo1センターになるとか言ってたけど…


あいつはまだそのレベルじゃない。)


桜井は同じセンターとして、椎名の欠点を見抜いていた。


(身長が低いのは言い訳にしかならね〜よ。


俺なら打つ。)


どうやってロングを打ってもらうか?


そう考えていた時点で椎名は間違っていた。


ロングに自信のない椎名には仕方のないことかもしれないが、


『攻める姿勢』


それをセンターが失えば、


周りにも伝染する。


結局…


ずらしから日高のサイドシュートという手を取るが、


追い込まれスペースがない状況からのシュートは止められ、


決して得意ではない一ノ瀬未來の速攻に


得点を許す。


後半12分。


ここに来て…


同点。


12対12。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫