《MUMEI》

「ちょ、なんで……」

最悪、何故この徹夜明けのときに訪ねるんだ……。


「……帰る?」

寝たいさ、眠いんだもの。しかし、目の前にずっと逢いたかった人間がいるのに帰らせる馬鹿が何処にいる。


「……珈琲飲む?」

とりあえず、乙矢を椅子に座らせてインスタント珈琲を探しに台所へ立つ。


全体的にどうでもいい恰好な自分がステンレスの冷蔵庫に映り、泣けてきた。

「砂糖とミルクどうする?」
叫んで質問した。

「ミルクだけ」

返答は静かなものだった。

「わかった」

妙に落ち着きの無い自分が情けなくなる。
遊園地に来た子供みたいだ。

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