《MUMEI》

(そう…


これでいい…


ハンドボールは7対7。


でも全員が1つ1つのプレーに関わるわけじゃない。


有利な展開を作り出す。


それが定石。


7対7の中で、


3対2の状況を作り出した。


今なら…


最高の形でシュートが打てるはずだ!!)


「いけ〜!!」


叫ぶクロ。


シュートを打つユキヒロ。


「…!!」


キーパーの顔の横を、


ボールが突き抜ける。


1歩も動けなかったキーパー。


会場も静まりかえる。


「…あ、


ナイッシューです!!」


呆然としていた選手たち。


ハッと気が付き声を出した。


会場もすぐに声を出す。


「すげ〜!!」


「何だ今の!?」


驚いていたのは、


ユキヒロもだった。


(何だ今の…?


あんな速いシュート…


俺が打ったのか…?)


「お前は最高だぁ〜!!」


盛り上がる赤高ベンチ。


喜ぶクロの頭にあったのは…


ヤマトのことだった。

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