《MUMEI》
裕斗視点
「完璧?」
人の枕に足乗せて逆向きに眠る惇。
口元から涎まで垂らしてなんだか気持ち良さそう。
水性マーカーで瞼に目書いた。
ほっぺたに正露丸みてーな黶書いた。
まるで起きてるかの様な面持ちだが間違いなく寝ている。
だって珍しく鼾までかいてるし。
「オマエな〜、俺じゃなかったら食われてますよ?分かってる?
って……―――はあ」
クローゼットから真菜の毛布出してばさっと惇に掛けてやる。
だって布団の中に入れんの面倒くさいから。
とりあえずキッチンの換気扇回して煙草を一服。
今日は長距離運転とエッチと惇の事で肉体的にも精神的にもめっちゃ疲れた…。
――さっきシャワー浴びてる振りして隆志に電話した。
今俺んちに惇居るから速攻迎えに来いって。
始めから惇の事抱く気ねーし…
俺に親友抱くなんてできっかよ。
適当な話してる間に隆志が迎えに来ればと部屋に戻ると既に惇は夢の中の住人だった。
内心めっちゃほっとした。
うん、ほっとした…。
煙草を濡らし三角コーナーに捨て、携帯をケツポケットから出し、見た。
―――さっき電話してから20分は経過している。
惇のマンションにいるのかと尋ねたらうんって言ってたのに…
あそこからここまでのんびり歩ったって10分かからない。
隆志もやっぱ疲れたんか〜?
つかもしかしたら俺ん家じゃ安心してのんびり迎えに来るのかも知れない。
――…そうだ、隆志も疲れてる筈。
惇も寝ちまったし俺がこのまま朝まで預かった方が良いのかも。
パカッ…
「やれやれ、世話のかかるバカップルめ」
俺は隆志の携帯に電話をかける。
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