《MUMEI》
苦労
一本目の下りは目一杯攻めた。

やはり、着いて来れないようだ。

あいつらが着いて来れる位にペースを落としてライン取りを見せる。

S字の進入ライン、ヘアピンのクリップ位置、コーナーのつなぎのライン、立ち上がりのライン、それらを強調しながら3往復走った。


それから徐々にペースを上げながら10往復ほど走った。

(そろそろ限界か…
手が痺れてきたし)


俺はペースを上げて全開走行に切り替えた。
あいつらが離れていく。

そのまま引き離して、逃げるように峠を下った。

(やっぱりバレないようにするのは苦労するなぁ…)

さっきの自販機にたどり着き、バイクを止めた。

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