《MUMEI》
不意打ち
ボランティアを終えた俺達六人は、老人ホームの近くから出ているバスに乗って帰宅する事にした。


高山は希先輩の隣に座り、積極的に話しかけていた。

俺は、すぐに降りるから、一人だけ立っていた。


「じゃあ、お先に」


俺は軽く頭を下げて、バスを降りた。


(暑っ…)


帰宅した俺はすぐにエアコンのスイッチを入れ、床に横になった。


高山に朝から叩き起こされたから、目を閉じるとすぐに眠れると思ったが


暑さと蝉の声


昼間の春日さんとの会話


これから、する屋代さんとの会話…


それらが、俺の眠りを妨げた。


やがて、隣のドアを開け閉めする音が聞こえた。


(そろそろ、行こうかな)


俺はゆっくりと起き上がった。


ピンポ―ン





(あれ?)


返事が無い。


俺は、試しにドアノブを回してみた。


「お邪魔します。…屋代さん?」


簡単にドアが開いたので、玄関から声をかけてみた。

「やぁ、いらっしゃい」


「うわぁ!」


背後から声がしたので、俺はかなり驚いてしまった。

「ごめんごめん、俺より先に慎が来てるんだ」


部屋に入ると、確かに爆睡している仲村さんがいた。

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