《MUMEI》
12月に・・
12月に入った。

今年も終わりに近づく。

街はまた、クリスマス一色だ。
場所によっては、すでにお正月だ。大型スーパーでは、クリスマスケーキの予約と、正月飾りが隣同士に、設置してある。


学校帰りのカップルや仕事帰りのアベックが目につく。
夏海と奴もその中の一組だ。
「クリスマスプレゼント何が欲しい?」
「ひどいなぁ、普通、聞かないでしょ?ムードない男だなぁ。」
「・・・」

奴は夏海に直接聞いてしまった。
いや、聞かなきゃ、ならなかったのだ。
なぜなら……

「聞かれたら、私も、あんたに、聞かなきゃならないじゃん、じゃ、言わせてもらうけど、1月には、誕生日もあるよ!あんた、バイトしてないのに、こずかいあるの?」

「うるさいなぁ、こずかいあるよ。少しだけど。」
「すごいじゃん、まぁ、部活一筋だからね、こずかいなんか、使う暇ないっか」
「・・・」
「じゃ、なつみは、ほしいものある!ブランドの財布!」
「あぁ?!」
「うっそー!」
「まじかと思った、そんな、金、ねーし」

少し、間が空いて。

「手紙」
「?!手紙?!」
「あんたからの、手書きの手紙。それでいいよ。手紙、もらうの好きだし。書くのも好きだし。」

夏海が手紙が好きなのはわかっていた。
学校でも、日記のように、毎日手紙を夏祭り以来、書いていたのだ。それを学校で渡す。

「わかった、考えとく。」
奴は、それだけ言った。

二人の幸せな時間が、崩れていく。奴は、それを、感じながら、それだけ、言った。

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