《MUMEI》

◆◇◆

「夜桜‥‥?」

「ああ‥彩貴か」

「起きていたのだな。もうとっくに眠っているかと思っていたが‥」

 彩貴が言うと、夜桜は苦笑した。

「すまん、驚かせたか」

「いや‥意外だ、と思っただけだ」

 すると夜桜は刹那の沈黙の後、口を開いた。

「なぁ、彩貴」

「‥どうかしたか」

「妖と人は‥」

「何も変わらない」 
 夜桜の心を読み解いたかのように、彩貴が続けた。

 夜桜は微笑し、眠り込む妖達に目を細める。

 寝息を立てているその様を見ていると、不思議と穏やかな気持ちになる。

 明日、また遊んでやろう。

 何をしようか。あれやこれやと考えを巡らす。

 自分にとって、妖は己と同じもの。

 妖であれ、人であれ、その心に思う事に、何ら違いはないのだから。

 それを思い、夜桜はふうわりと微笑んだ。

◆◇◆

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