《MUMEI》 「和也。」 「ん?」 「ちょっとトイレ行ってくるわ。」 「…? あぁ。」 桜井が席を立つ。 観客席へと向かっている赤高選手たち。 (最後俺が決めてれば…) (あんな大事な場面で退場するなんて…) (何も… できなかった… 関谷さんの代わりが務まらなかった…) (サイドプレイヤーにあんなに点取られるなんて…) 選手たちは皆、 静かだった。 敗因を、 失敗を、 考えずにはいられなかった。 「…自分ちょっとトイレ行って来ます。」 そう言って… 1人離れる椎名。 (俺に得点力があれば… 俺が点を取ってれば… あんな結果にはならなかったはずだ…) 椎名もまた… 自分の欠点を嘆いていた。 「よぅ負け犬。」 (…桜井…さん。) 前へ |次へ |
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