《MUMEI》

「…」


桜井を無視する椎名。


「何泣いてんだよ?」


「…」


「俺から言わせりゃ1点差でも奇跡だったけどな。」


「…」


「気付いてんだろ?」


「…」


「お前が点を取れてれば勝ててたかもしれないって。」


「…」


桜井の言葉に返事ができない椎名。


ただただ泣いていた。


桜井に言われたことが事実で…


何も言い返せなくて…


悔しくて…


「泣くほど悔しいんだったらなんでそんな下手くそなんだよ!!


悔しいんだったら上手くなって見せろよ!!」


「…」


必死で涙を飲む椎名。


「…じゃ〜な。負け犬。」


桜井が立ち去ろうとした時だった。


「なりますよ!!


上手く…


上手くなって…


夏にはあんたを…


越えてみせる!!」


「…無理に決まってんだろバーカ。」

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