《MUMEI》
リアル
「グアムですか!?いいなぁ〜。私、海外行ったことないんですよ」

「オレもないですよ。だからすごく今から緊張してます」

「誰か一緒に行くんですか?」

「ハイ。有理も一緒です。こんな形ですけど、初めてのふたりでの旅行なんです」

「……よかったですね、流理さんにとっても有理さんにとっても」

――というのも、実はまだ有理には言ってない。なんとなく照れ臭くて言い出せてないんだ。

そろそろ言わないと、日程の調整とかできなくなるから時間はない。

「有理、あのさ」

「何?今早苗来てるんだけど」

「早苗さんにもちょっと関係あるんだ」

「早く言えよ」

「う、うん」

オレの計画を発表。

「行かない」

「なんでだよ!もう少し考えてくれたっていいだろ?」

「よく考えたよ。その答えが、『行かない』だ」

「……大丈夫だよ。お前オレの仕事の妨げになるとか思ってんだろ?オレ別に有理の世話とかする気ないからな」

「は?」

「有理に構うのはプライベートになった時だけ。例えば夜とかさ。オレ未成年だから誘われても早く帰してもらえるし。一週間って結構あるから、ふたりで行ったらオレも有理も寂しくない」

「有理、行かないの?こんな兄弟水入らずで旅行なんてできるの今だけよ」

「今だけ?」

有理が早苗さんの言葉に眉をひそめる。

「当たり前じゃん。これからオレ達大人になっていったら有理もオレも仕事に追われる日々になるし、有理はいつか早苗さんと結婚してオレとは一緒に住まなくなる。オレだってそうだよ。こんなこと今から想像したらすごく寂しいけど、これがリアルだ」

有理はじっとうつむき、

「もう少し――…考えさせて」

と言った。

「いい返事、待ってるよ」

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