《MUMEI》

地下に降りる階段は、2階へ上がる階段の真裏に在った。


武がそこを3段飛ばしで駆け降りると、すぐに断熱素材で出来たドアが現れる。



乱暴にドアを開け放つと、そこには20畳ほどもある広々とした空間があった。


真っ暗な室内には、高級なワインを貯蔵する棚がずらりと並び、適温管理された空調からは冷やりとした空気が流れ落ちてくる。



武は暗がりで目を凝らし、聴覚を磨ぎ澄ました…。


―――…すると……



「―――…ぅ……ぅ……。」


武の耳に、ハッキリと妹の苦しそうな声が届いた!



「ジャイ子!!」


武は声のした方へ駆け寄った…!

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