《MUMEI》

「なー、社員は何人なの?」

珈琲を啜りながら乙矢は奥の仕事場、別名:戦場に視線をやる。

「俺を入れて六人……」

落ち着かない。
もう珈琲は二杯目だ。

「徳和も?」



「…………振ってやりましたよ。」

睨んでやる。
あまり思い出したくない。

「愉しくセックスライフを満喫しているのかと。」

乙矢も二杯目突入。

「お前こそ、愛しの二郎ちゅあーんに挿れさせて戴きましたか?」

伸ばすところに皮肉たっぷりに言うのがポイント。


「……二郎はそういうんじゃないから。
ああ、そうだ、あれは柔らかいからなあ、抱きしめただけでプチッて潰れちゃうから。そこから腐る……」

余裕の笑みだ。

「うわー、俺も抱いてみたーい。」

棒読みになってしまう。

「……ふ、オッサンには分からなかったか。」

うわ、オッサン言われた……!

「何処が笑いのツボだったんですか?」

正直に聞いてみた。


「腐るってとこ」

「若者の感覚は理解できません。」

腐ると面白いんだ?

「…………まあ、予測はしていましたけどね」

諦められた。

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