《MUMEI》
電話
   〜海視点〜


俺は、入ってきた門をくぐりまた走り出した。


10分ぐらい走ったところで


ガシャ―――


ポケットから携帯が落ち危うく蹴飛ばしそうになった。


俺は肩で息をしながら屈んで携帯を拾う。


あれ―――?


電話??誰からだ?


光っている携帯を開き通話ボタンを押し耳に当てると


「・・・・・!海!!


やっと出た〜!!何回かけさすんだよ〜


っていうか今どこ?」


電話にも関わらず大声で話しかけてくる歩の声が耳に入る。


「えっ・・・今?高校の近くにいるけど

歩学校は・・・・・?」


正確な時間は分からないが、今は授業中のはず。


「まぁそれはどうでもよくて!


栄実の家教えて!!」


どうでもよくないだろ!って俺が言っても説得力ないか・・・。


「はっ?何でいきなり栄実の家なの??」


いきなりの歩の申し出に頭がついていかず質問する。


「かくかくしかじかで栄実を学校に連れて行かなきゃなの〜!!

つべこべ言わず教えなさい!」


かくかくしかじかって何だよ!!

意味わかんねぇ〜。何か今日の歩おかしいなぁ・・・。いつもの歩がおかしくないかって聞かれても返答に困るけど。


ってそんなことはどうでもよくて!!


「栄実ならしばらく学校行かないと思うぜ?」


「・・・・・・・・・・は?」


短い沈黙の後に聞こえたのは、歩の間の抜けた声だった。


「だ〜か〜ら〜!栄実ならしばらく学校行かないと思うぜ!!」

同じ言葉を繰り返す。


「えっ!?何で?


それじゃあ困るんだよ!!何としてでも栄実には学校に来て貰わないと!」


何でってこっちが聞きたいぐらいだよ・・・。


何で歩が困るんだ・・・?


「とにかく、学校の校門に待ち合わせな!」


プツッ・・・ツーツーツー・・・


俺が、色々と考えている間に歩はそれだけいい電話を切った。


何なんだよ・・・あいつは!


携帯を閉じようとふと画面に目をやると1通のメールが届いているのと

・・・・・電話の着信が26回もあったのに気がつく。


その全てが同一人物からなのだが・・・敢えて名前は言わないでおこう。






歩!電話かけすぎだ―――!!

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