《MUMEI》 「君は儀式を識っているかな。反魂と云うのだけれどね。」 ハナが目覚めたのは闇の中だった。 その中に蠢く影が話す。 女中としてハナは、半年前から北条家に出稼ぎに来ていた。 彼女は別荘で行う会員制の美術品の即売会に手伝いに任命される。 幸運だった。 器量佳しの彼女は財閥の御曹司等に云い寄られた、其の取り巻きの中で特に菅沢という男が熱心であった。 彼女にとって四十近くの菅沢は疎ましい存在だった。 侯爵家の誉の方が彼女には魅力的に映る。 つい、菅沢の気を識っていながら無視をしてしまう。 菅沢はハナの為に細工の佳い首飾りを競り落とした。 誉に心奪われた彼女には重荷でしかない。 前へ |次へ |
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