《MUMEI》 田中の由来車は、市街地や住宅地を通り過ぎた。 「…あそこだ」 忍が指差したのは、ピンクのネオンの建物。 それ以外は、… (マジで、田舎だな) 真っ暗。 他に、建物はない。 窓を開けようとボタンを押すと、申し訳ない程度にしか動かなかった。 しかし、それだけで十分だった。 耳障りな程の蛙の大合唱を聞いた俺は、すぐに窓を閉めた。 (単純だよなあ…) 俺の、名字。 田中は 俺が、この… 田んぼの真ん中にある建物で生まれたからだった。 そんな事を考えていると、車は建物の駐車場に入った。 忍は車をとめ、車から降りてボタンを押し、シャッターを下ろした。 「ついてこい」 「はいはい」 忍はすぐ側にある小さな扉を開けた。 そこは小さな玄関になっていて、俺達は急な階段を上がった。 そして、忍は、窓口の小さな隙間から出てきた手に、札束を握らせた。 それから、更に扉が一枚。 扉を開くと、外観からは想像もできないような豪華な部屋が広がっていた。 中でも、この部屋で何をするかが想像できるキングサイズのベッドは圧倒的な存在感があった。 前へ |次へ |
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