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《MUMEI》 望月◇◆◇ 望月の浮かぶ十五夜。 神夜と竹千代は内裏を抜け出し、誰にも見つからぬよう息を潜めていた。 「神夜、本当にこんな事していいの‥？」 後ろめたげに竹千代が尋ねた。 神夜は満ちた月を見上げ、軽く頷く。 「今夜だけでも、二人きりになりたいの」 「だけど、もしこの事が上皇様に知れたりしたら‥」 「大丈夫。浅葱が上手く埋め合わせてくれるから」 浅葱は内裏の中で唯一、二人の恋を手助けしてくれる存在なのである。 故に神夜は、浅葱を信頼している。 この夜内裏を抜け出す事が出来たのも、浅葱の後押しあっての密事だったのだ。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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