《MUMEI》 手紙1奴は、今年中に引っ越しをしなければならなかった。 親の転勤。 夏海に言えずにいた。 クリスマス一緒に過ごせるかも、今はわからない。 奴は考えた 悩んだ 手紙を書き始めた・・・ 〈夏海へ 俺さぁ、字へただし、文才ないし、女に書くのも初めてだし。でも、決意したから。まぁ、読んでくれ。 俺さぁ、お前が虫見ながらにやけてただろ、同じ高校はわかってたけど、隣だとは思わなかった。一目惚れなんだなぁ、何がいいかって、上手く言えないけど、笑顔っつーか、にやけ顔にほれたかな。夏海、怒るなよ。 でさぁ、つきあい初めて、俺楽しかったよ。お前とたくさん話せたし、俺、お前が好きなんだって、つくづく、思う。なんでかな、わからないけど。おれら、喧嘩もしなかったよな。 喧嘩するほど仲がいい、なんて、言葉、あれは、嘘だよな。 夏海、俺、楽しかったよ。あと、夏海に話さなきゃ、ならないこと、あるんだ。聞いてくれるか?・・・〉 前へ |次へ |
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