《MUMEI》
手紙2
〈俺、お前に言わなきゃならない。

たぶん、この手紙もクリスマス前に、お前は読んでるだろう。 ごめんな。

俺、転校するんだ、親の転勤。
お前に言いだせなくて。
泣くか?
泣かれたら、俺、どうしたらいいか、わからねーし。お前の笑顔しか、しらねーから。
俺さぁ、夢みたんだ、二人で旅行して、飛行機に乗るんだ。一番安全な飛行機。でも、事故したら絶対助からない空の旅。
二人で空の旅。
お前、幸せそうな笑顔だったよ。
でもな、気流か何かの事故で、一転、飛行機が落ちていくんだ、機内パニックだよ。
夏海も俺も。
でも、俺、もう助からないと観念したら、穏やかになって、お前に言ったんだ。「 夏海を抱き締めていてやるよ、死ぬかもしれないけど、俺、夏海となら、いいよ。夏海、二人で逝こうな、生きるも死ぬも、一緒だよ。ほら、怖くないだろ?俺がずっと、そばにいて、抱いてるから。夏海・・」
周りはパニック状態だったけど、おれらは、落ち着いたよ。
俺の夢。夢の中で、おれら、死んだかも。そこで、目が覚めた。

俺、すごく、好きなんだと思う。でも、愛してるなんて、軽々しくは言いたくない。俺の頭の中や、心をみせたいよ、そしたら、わかるだろう、俺の気持ち。

でもな、俺、いなくなるんだよ。お前を、抱き締めてあげられない。

でも、離れなきゃならない。
わかるか?

おまえに言いたかった事だ。

好きだけど、さよなら、だよな。夏海。

俺と夏海は、お互い、そばにいなきゃ、だめになる。
そんな仲にまで、なったんだからな。

ごめん、これ以上書けないや。ごめん、夏海。〉

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