《MUMEI》 ハナの首筋にナイフの切っ先が当たる。 「乙女の首の鮮血が必要不可欠なのだ。」 ハナは手足を背中に向かって縛られ、口は布で猿轡をされていて無抵抗だった。 「お前の菅沢に対する執着を見ていたら昔の私を思い出したよ。 私は結局、彼女の心を手に入れられなかった。では、黄泉の彼女くらいは手に入れたいではないか。」 微かに振り上げたナイフの音が尖端を輝かせた気がした。 ハナは固く目を閉じる。 「――――止めなさい 」 地下に鳴り響く聲、ナイフの手は停止する。 拳銃を林太郎は向けた。 「……邪魔をしないで呉れないか。儀式が始まるのだから。」 そう、云った後、庭師は蚩う。 前へ |次へ |
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