《MUMEI》
外泊してくれ
にくたらしい だけど
愛おしい…

初めてのタイプのサトルは新鮮で、だけど私はいつも胸の内で文句をつぶやいていた。

「ねぇ…。今度の日曜日、日本から友達が来るんだ。でさ、久しぶりだから…。アパート狭いからさ、里奈、〇〇ホテルに泊まってくれないかな…」

「誰が来るの?」

「幼なじみだよ。彼はアメリカ初めてなんだ。なんだか相談もあるらしいからさ。ごめん!頼む。」

「いいけど…」

「悪いな!感謝するよ。」
なぜ、私が外泊しないといけないのか?
サトルと彼でホテルに泊まればいいじゃん。。

腑に落ちない。

寝る前のシャワーを浴びながら、ひとり考え込んだ。
「僕もいいかな。背中流すよ。」

いいかなと言いながら、すでにバスルームに入ってきていた。

不意に背中を向けてしまった私をサトルは背後から抱きしめる。

手に持っていたシャワーヘッドを持つ力がなくなり落としてしまった。

「ねぇ。力を抜いてよ。怒ってるの?」

「怒ってなんかいないわよ。」

「じゃあ、どうしてこんなに力が入ってるのさ…」

こんな事くらいで怒る女に思われてたまるもんですか!

だけど、肩に柔らかいサトルの唇が吸い付いた時、全ては無駄な抵抗だと悟った。

サトルをやはり好きなんだ…。 完敗。


続く)☆ひなこ♪

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