《MUMEI》

「俺は駄目な男だな……」

車の中で自己反省だ。

「はああ?今更何言ってるの?」

光の容赦無い言葉の刃、素晴らしいです。

「結局、誰かを救うことが出来なかった。」

俺の力じゃ及ばない領域だ。


「国雄は俺を救ったよ。」

「光の努力が実ったんだ。手を貸しただけさ。」

光の不満げな顔が迫る。頭突きされた。


「石頭!

手を貸したのも立派なことだ、俺は国雄がホストとして沢山の客を癒したのを知ってる。
間違わないように手を添えてその人に道を示してやる存在になるのは凄いことだよ?結局のところ、最後に選択するのは自分だ、国雄はちゃんと正しい方に導いているから安心しな。

だって、この俺の一生を助けたんだよ?」

光、カッコイイなあ。
俺の方が救われているのに。

「なんか、エロいことしたいなあ…………」

タクシーの運転手の顔が僅かに引き攣ったのを見た。

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