《MUMEI》 嘘の宿題店長と一緒に休憩に入った俺は、早速質問することにした。 いきなり、『店長の普通って何ですか』とは訊けないから、夏休みの宿題という事にした。 「自分が気になる言葉の意味をレポートにまとめるのが課題なんですけど… 『普通』って、簡単かと思ったら結構奥深いんですよね」 「そうかもしれないなあ」 店長はタバコを吸いながら答えた。 「で、身近な人の意見訊いてるんですけど、…店長にとって、普通ってどういう事ですか?」 「う〜ん、そうだなあ…」 俺は緊張しながら店長の答えを待った。 「俺にとって、普通って…当たり前の事って… 妻がいて、子供がいて、仕事があってこうして時々うまいタバコが吸える事、かな? 家だと女二人がうるさくてね。 参考にならないだろ?こんなの」 「いえ…」 妻が、子供が…家族がいる。 仕事がある。 たまに隠れてタバコを吸う。 それが、旦那様や忍のような特殊な人間ではなく、普通の大人の、店長の普通。 (この普通は、かなり当てはまるヤツいるよな…) それに、店長が普通を『当たり前の事』と訳したのが、かなり印象に残った。 前へ |次へ |
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