《MUMEI》

試合前…


「クロあいつのこと知ってんの?」


「知ってるっていうか…


厳密に言うと知らないんだけど、


向こうが僕のこと知ってる感じかな。」


試合前のアップの時間。


恭介は、相手のシューターの癖を観察していた。


「何でそんな気になるの?」


「…あいつ結構やるだろ?」


「…鋭いね。」


「動き見ればわかるよ。


速攻はまぁクロが上だからなんとかできると思うけど…」


「何か問題あんの?」


「…シュートセンスが厄介だな。


綺麗なプロンジョン打ってるし、コントロールもいい。」


サイドシュートは、


角度がないぶん難しいと思われるが…


上手いサイドシューターのシュート成功率という物は…


7割を越える。


基本的にはシュートチャンスの少ないサイドだが、


成功率という点ではポストについで高いかもしれない。


もちろん選手の能力によるが…


八嶋のサイドシュート力は高い。


「厄介だな。」


「…恭介?」


「サイドシュートってのはさ、角度がないだろ?


その分、良いコースに来るんだ。」


「…なるほどね。」


「あいつは、コントロールが高いから…


厄介だ。」


「ふ〜ん。


要するにさ、


あいつに打たせなきゃいいんじゃないの?」


「まぁ…、そうだけど。」


「じゃあ僕が八嶋には打たせないようにするよ。」


「?」


「サイドにシュート打たせない方法なんていくらでもあるだろ?」


「確かに。」


「僕なら、完璧にこなすよ?」


「…そうだな。


任せた!!」

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