《MUMEI》 社会人の試合時間は高校生の試合時間と比べ短い。 前半30分、後半30分の高校生と比べ、 前半20分、後半20分と、合計すると20分程短い試合時間となる。 前半20分が終了した時点で28点を取っている海南クラブは、1分1点以上は確実に取っている計算となる。 が、それも不可能な話ではない。 城南クラブの得点が0なのだから… 「クロ1人で11点取ってるぞ。」 「まぁこの展開ならね。 恭介がロング止めてくれるから楽なんだよ。」 「いや、でもあの右サイド足速いぞ?」 「最初に八嶋にパス出させないように守ったからね。 パス出すことを躊躇したらこっちのもんだよ。」 (何で… 何で俺はあいつに勝てないんだ…) 八嶋はクロに完敗だった。 (あいつと俺と… 何が違うんだ…) 気持ちが切れた城南。 28点差を逆転。 そんなことできる訳がない。 そう考えていた。 唯一勝ちに拘っていた八嶋も、 『黒田小太郎に勝つ』 ただそのことに必死だっただけ。 自分の勝利しか、頭になかった。 クロはそれを、 『小さい目標だね。』 そう言った。 自分の勝利の為にプレーする八嶋。 チームの勝利の為にプレーするクロ。 差は歴然だった。 (俺じゃ… やつに勝てないのか?) ハーフタイム。 八嶋は、敗北感から逃れることができなかった。 試合はまだ終わっていないというのに… 前へ |次へ |
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