《MUMEI》
超早朝訪問
「おはよう、祐也!」


「おはようございます…」

(だから、何で高山一族はこんなに早起きなんだ…)

夏休みも半ばになり、俺は朝ゆっくり起きるのが習慣になっていた。


「まだ寝てたの?」


「はぁ…」


(普通は寝てるだろ…)


今の時刻は、高山が来た時よりも更に早い


―朝の五時だった。


ちなみに俺は学校がある時でも六時に起きていたから、正直かなり眠かった。


「ごめんなさいね。祐也、バイトばかりで全然遊んでくれないし…
今日、久しぶりに会えるのが嬉しくて」


「いや、別に…」


落ち込む津田さんに、俺はついそう答えた。


「そう?じゃあ、お邪魔します!」


「え? わっ!」


言った途端に津田さんはクイーンに戻り、俺の部屋に入ってきた。


「学校行くまで時間あるし、それまで二人きりでゆっくりしましょうね」


今日は、学校で演劇部の練習がある。


…ただし、九時から。


俺の家から学校までは自転車で三十分、徒歩で一時間近く。


残り時間…


「私も今日は自転車だから、八時半に出れば間に合うわよね」


―約、三時間半。


俺は、冷や汗をかきながら頷いた。

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