《MUMEI》
緊張
「お茶しか無くてすみません」


(…しかも、ペットボトルのままだし)


拓磨が見たら激怒しそうな対応だが、俺にはこれが精一杯だった。


「いいのよ。私の事は気にしないで」


(いや、無理です)


圧倒的な存在感の津田さんの向かいで、俺は静かにゼリー飲料を飲んだ。


「いつもそれだけなの?」

「…すみません」


(何で謝ってるんだ? 俺?)

「ふーん…」


津田さんは、俺をまじまじと見つめた。


「俺、顔洗って着替えてきます」


「あぁ、うん。着替えはここでもいいわよ」


「い、いや」


(俺がよくない)


俺は慌てて洗面所に向かった。


(の、覗かないよな?)


俺の部屋は、トイレは別だが、洗面所と風呂場は一緒だ。


だから、一応扉はあるが、鍵は無く、俺は急いで着替と洗顔・歯磨きを済ませた。


「似合わない」


「はい?」


戻って来た途端に、俺は津田さんにダメ出しされた。

俺の今日の服装は、英語が書かれた白いTシャツと、ジーンズだった。


「祐也はせっかくスタイルいいんだから、ちゃんと自分に合ったサイズ着なきゃダメ」


確かに俺は、自分のサイズより大きめだとは思っていたが…

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