《MUMEI》

深夜にふと智嬉は目を覚ました。

「嫌な予感するのは滝だけではなかったか…」
横で寝ていた滝も目が覚めていた。

「俺もざわざわする」
「下へ行ってみようぜ」

滝の家は2階建てなのだ。
「母さん!やめてくれ!そんな物騒な事…」
「ハハハ…あなたも一緒に死ぬのよ…!」

なんと、家に火を付けようとしていたのだ。

「滝!いや、兄貴!警察を呼んでくれ!」
下で叫んでいるのは啓助だった。

「どうした!大丈夫か!?」

「智嬉くんも道連れよ…」
操れたような顔つきをしている。

「滝! お前の母さんは母さんじゃない!何者かによって取り付かれているんだ!」

「なんだって…」
能力者は、万が一のために、人を殺してもいい許可証、すなわち“殺人許可証”を携帯している。


「啓助…」
「兄貴?」
「俺を信じてくれるか?」
いくら操れた親族を殺しても、後味が悪いはず。

「うん。いつでも覚悟は出来ているよ」
操れた母は、滝を殺そうと、台所から包丁を差し出した。

「貴方を殺して…私も死ぬわ…」
「母さん、今まで、ありがとう…」

「“私は…カルテーニ…貴様の父親を…許さない…”」

母からの体から本体が出てきた。

「滝…」
「なんだありゃ」

智嬉は身を振るわせていた。

「“今、父親がいない以上、殺す標的はお前だ。国王…”」
この時から、カルテーニの国王説はあったらしい。

「滝…!お前…」
「国王じゃない!国王じゃない!そんな見に覚えのない事言ったって無駄だぞ!てめぇ、訳の分からない事で戦闘をはぐらかそうったってそうはいかねぇぞ!」
完全にキャラが変わってしまっている…

「思い出せないなら今思い出してみようか…?」

カルテーニは滝の傍に近寄った。

「なんだよ…」
「思い出せてやるよ…」
そして、カルテーニは目を瞑り、滝の体の前に手を飾した。

ドク…ン
「なんだ…?」

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