《MUMEI》
第四十二話:一人目
「夢乃! そっちの状況を知らせろ!」

 義臣は先発隊の連絡が突如途絶えた事で臨戦体制を敷始めた。
 社員達に招集をかけ始める前に、すぐに動き出すチームまでいた。

「・・・・至急援軍を!
 尊氏の分身全てにデビル・アイのコピーが搭載されている!」
「コピーだと!? そんな馬鹿な事があるはずがない!」
「それが実際に起きてる! 
 このままじゃ快のチームが全滅する! 至急援軍を!」

 そのとき背中に悪寒が走った!
 氷堂尊氏だ!

「自分の息子を心配している場合か?」

 振り返った瞬間、刃が夢乃に振り下ろされた!

「夢乃!」

 夢乃の通信は完全に途絶えた・・・・


「何やってるんだよ快ちゃんは・・・・」
「さあな。だが、氷堂が分身が得意戦術だって事は知ってただろう」
「そりゃデータは頭の中に入れて来たけど、こんな不気味だなんて聞いてないよ」 

 修と白真は合流していた。
 おそらく自分達の目の前にいるのは氷堂尊氏の分身。
 分身のみなら倒せたかもしれないが、
 デビル・アイを搭載した相手と戦って無事だとは思えない。
 夢乃達が来ないのも戦闘に巻き込まれたからだろう。

「とにかく翔が一人なんだ。
 こいつを早く倒して合流するぞ」
「しかないね」

 二人は立ち向かった。


 そして、噂の主は絶体絶命のピンチを迎えていたのである。

「弱い・・・・。お前が片岡航生の息子とは思えないが・・・・」
「あんな化物と一緒にするな・・・・」 

 翔は肋骨の痛みに耐えながら答えた。
 数本折れていることはわかる。
 しかし、死ぬわけにもいかない。

「まあいいだろう。お前もかつてはブラッドに潜伏していたんだ。
 私自ら消してやることを光栄に思おうがいい・・・・」
「へっ・・・・! 分身なら俺でも勝てたかな・・・・」

 デビル・アイは不気味な光を放ち、翔の胸を貫いた・・・・

「一人目だ、篠原快・・・・」

 氷堂はその場から消え去った。

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