《MUMEI》

「ハァ、ハァ……ハッ
ひ、ひむろひゃまあ、お待たせ致しました……」

何キロある重りだろう。
唾液が口から溢れ、飲み込むと鳴咽が漏れそうになる。
氷室様は買ってきた水をそっちのけで針を出し始めている。

「背中を出し、壁に手を付け。」

……間に合う筈無かった。
壁に手を付いて背中を出す。


針は背中に当たるとひんやりする。

「……ふ、」

尖端でじりじりと明石の「明」を書かれる。
耐えられない、痛みに達しない疼きだ。


「動くな、刺さるぞ?」

「はい!」

背筋がぴんと伸びる。
刺さるのは嫌だ!

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