《MUMEI》
副部長の見解
美術部に一年生で途中入部して来た鬼久保 弥一君はひたすら可愛い。
可愛過ぎて男の子だと意識し忘れるくらいだ。
部のマスコットとして申請したい。

部長の卜部がヘッポコな分皺寄せは副部長である私にくるけれどそのヘッポコのお陰で鬼久保君と仲良くなれたのだから多少は有り難い。副部長になって得したのは鬼久保君をいち早く可愛がれたことくらいだ。




「せんぱーい、絵の具の蓋が開きません。」

鬼久保君が歩くとポテポテと鳴りそう。
鬼久保君は卜部や白戸がいないと私を頼ってくる。
今回は油絵の具の蓋が開かず、開けるための器具の場所を聞きたかったらしい。

「どれ、貸してみなさい……ゥラッ!」

この程度なら長年絵の具の蓋を開けていたので軽く開く。


「エー!有り難うございます!」

鬼久保君にはかなり衝撃的だったみたいで大きな瞳を更に丸くした。

確かに私より腕力なさそうだもんね、あの細い腕じゃあ箸より重いもの持ったことなさそうだ。

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