《MUMEI》

「こちらは?」

お婆さんにちらりと視線を配られた。

「ばーちゃん、これはじろーって、幼なじみで俺の家族だよ。」

七生に簡単に紹介された。

「母さん、内館の御学友の息子さんです。」

丁寧に北条さんに解説される。

「初めまして。木下二郎です、七生君にはとてもよくして頂いてます。」

深々とお辞儀する。
放送コンクール並の緊張感だ。


「貴方いつもこんな乱暴を働いてらっしゃるの?」


……言い方に刺を感じるのは気のせいか?

「ばーちゃん、愛の鞭だからコレ。」

「あ、はい冗談でじゃれ合うようなもので……」

七生に便乗。

「まあ、暴力が冗談でまかり通る環境ですか。
嘆かわしい。七生さんにはもっと相応しい場所があるのではありませんかねぇ、木下さん?」

「えっ……」

お祖母さん、俺に振りますか……!


「母さん!」

北条さんが止めてくれた。

「そうだ、奥様宛にお荷物が届いてました。」

メイドさんが話をそらし、お祖母さんを別の部屋に誘導してくれた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫