《MUMEI》 危険な体勢「というわけで」 「へ?」 ドサッ (痛っ…) 俺は後頭部と背中を床にぶつけた。 見上げると、津田さんの顔が見えた。 (…もしかして、俺、押し倒された?) もしかしなくても、この体勢は、そうなのだが、津田さんに俺が押し倒されるというとんでもない展開に、俺の頭がついていかなかった。 「あのね。母さんも、昔父さんをこうやって食べたんだって。 …まずは、顔、見せて、ね?」 そう言うと、津田さんは俺の前髪をかきあげ、俺の顔を見つめた。 『顔は隠さなくていい』 旦那様がそう言っていたから、俺は以前より強く抵抗できなかった。 「…」 津田さんが固まった。 ポッ (…何だ?) 津田さんの顔が… ポポポポポポ〜 真っ赤になっていった。 (熱でもあるのか?) 俺は、津田さんの額に触れた。 「…離、して…」 津田さんの声は消えそうに小さく、震えていた。 「あ、すみません」 俺が手を離すと、津田さんが俺から離れた。 「祐也の顔、…反則」 俺が起き上がって見た津田さんは、耳まで真っ赤になっていた。 そして俺達は予定より少し早めに部屋を出た 前へ |次へ |
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