《MUMEI》 台本変更予定より早く学校に着いた俺達は、とりあえず演劇部の部室に向かった。 部室には、顧問の相田先生と、部長しかいなかった。 「丁度良かった。お二人に相談があるんです」 そう言うと、津田さんはドアの鍵を閉めた。 「「どうしたの?」」 津田さんの様子を見て、二人は真剣な表情になった。 (本当に、どうしたんだ?) 「祐也、二人に顔をちゃんと見せて」 「…へ?」 「いいから早く!これ使って!」 (何なんだ?) 顔を隠す必要の無くなった俺は、言われた通り、津田さんから手渡されたヘアピンで、前髪を分けて止めた。 「「こ、これは…」」 相田先生と部長の鼻息が荒くなり、俺は思わず後ずさりした。 「切長の目のクールキャラは、無理だけど、これはこれで面白いかも…」 相田先生は台本を開いた。 「前半はこのままでいいですよね」 部長が確認すると、相田先生は頷いた。 「無口で口数が少ないっていうのもそのまま使えますよね」 津田さんの言葉に二人は頷いた。 そして、三人は相談して、『孝太』の変身後からのシーンを、俺の素顔に合わせて変更していた。 前へ |次へ |
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