《MUMEI》 絵画を盗まれた部屋に戻す。 相違点を上げるとすれば寝台に絵画が配置されている所だろうか。 「皆様ご覧下さい、こちらの絵画、無名の画家が描いた作品で在ります。」 客人は寝台を囲み絵画を鑑賞した。 「何だ、出し惜しみされる名画だと期待したのに。」 客人のうちの一人が呟く。 「此の絵画は作者の戀慕が詰まっているのです。叶わぬ戀に苦悩し、一枚の絵画に命を吹き込んだのです。 作者の命は彼が絵画を想い人に渡す前に亡くなってしまいました。 どうです、彼の純粋な想いも今、寝台で彼の愛した薔薇と共に眠らすことで報われると思いませんか。此れは一つの弔いなのです。」 薔薇と寝台の中で絵画の彼女は穏やかに映った。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |