《MUMEI》 告白帰ってきて、まず環さんに「全然黒くなってない!!」と批判された。 焼いたらダメなんだよ。一応“男なのに美しい”が売りなんで。 それはさておき、学校。とうとうこの時がきた。 「おはよう」 「おー!おはよう谷口!お前一週間も何してたんだよ。連絡も取れねぇし」 クラスの男子が早速そのことにつっこんできた。 「ゴメンゴメン。ちょっと忙しくてさ」 「また“ちょっと”?そろそろいい加減にしてくれる?谷口」 「あ、永井さん。おはよう」 「……おはよう。って話反らさないで!」 「ちょっと仕事でこの一週間グアムに行ってたんだよ」 「また“ちょっと”」 「写真集の撮影でね」 「はあ!!??」 ほとんど永井さんに脅されるようにしてオレは真実を口にした。 「ちょっ……冗談はよしてよ!」 「嘘じゃないよ。ほらグアムからのお土産だってちゃんと買って……」 「そっちじゃないでしょ!?」 「……ゴメン。嘘じゃないよ。だってオレ春日有希だし」 永井さんはやめてくれと言わんばかりに頭を振り、他のみんなもどうしたらいいかわかってない様子。 「いつもと同じ接し方で構わない。……でもそれが高望みだって言うんなら、いじめてくれてもいいよ。だってオレ、そうされても仕方ないことして来たんだ。オレはそれでも学校来るけどね」 苦笑いしかできなかった。 「……じゃあみんな、みんなで谷口のこといじめよっか?」 そう言ったのは――永井さん。 「あたし、谷口が前にドラマで共演してた松本要さんのサイン欲しいな〜。……無理?」 みんなの安堵の顔が見えた。 さすが永井さんだ。 「いいよ。でもあの人、まだサインが決まってないって言ってたんだけどもうできてるかな?」 ――本当に良かった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |