《MUMEI》

「会えないかと思ったあ!バカながさわあ!」
「ごめんね?まさか居るなんて思わなかったから…――あぁこんなに冷えて…可哀想に、俺のせいで風邪でもひいたら…――はぁ、聖ちゃん…、可愛い、大好き」
ギュッと抱えられたまま唇塞がれた。俺も長沢の首に腕回してそれに答える。
舌が絡んできて、俺からも絡めた。吸われたら負けないで吸いかえした。
チュッと唇挟んで吸われて、耳たぶに唇が移動する頃には、俺の躰ははちみつみたいにトロトロ溶けだしていて…
「はぁ…、みつぐ…―――ぁん……」
長沢は立ってらんない俺の腰を支えながら階段に座せた。
そして俺の首筋に舌を這わせながらシャツの上から胸を撫でてくる。
冷たいコンクリートの壁に寄りかかりながら俺は長沢の腕にしがみついた。

「あの〜……」
「――――!」
「先生すみません、俺ここでしてから帰りますんで…」
そう言いながら長沢は俺のジーンズのボタンを外してくる。
「ば、ばかあ!離して!」
俺らのすぐ隣に男の人がいる。つかここ外と一緒だし!眼の前いつ誰が通るかわかんないし!!
「長沢!離してやれ!」
「―――先生…」
そう言ったのは俺。やっぱ先生って職業の人は常識人だ。長沢も大人しく俺を開放した。

「ここは寒いだろ、教室使え」
「はい、そうさせてもらいます」

―――へ?
「わっ!みつぐっ!」
俺は軽々と横抱きされ長沢、階段上がりだす。
「鍵持ってるよな?戸締まり頼んだぞ」
そんな…そんな教師の声を聞きながら俺は教室の中に連れ込まれた。



「なんかいけない事してる気分だね」
満面の笑顔で俺を見下ろす長沢。

「いけない事してんだよ…、こんなとこでさ……」

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