《MUMEI》

前半が始まり10分が経った。


エースを欠いた海南クラブは、決定力を失いつつも、セットプレーから上手くポストに落とし得点。


ロングシュートも1本決めた。


しかし、榎本と松尾のコンビが止まらない。


恭介がロングシュートをなんとか止めるものの、


松尾の突破は交代で出てきた選手には防げなかった。


さらに…


「サイド下に位置取りしてるぞ!!」


「わかってる!!」


榎本のサイドシュートが恭介を苦しめる。


(何だこのシュート!?)


榎本のシュートは、独特な物だった。


榎本は、


下手投げだった。


通常上からボールが来るサイドシュート。


下から浮き上がる軌道のシュート等、経験したことがなかった。


「ナイッシュー!!」


前半10分。


スコアは6対3。

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