《MUMEI》






マンションを出、夜道に入ろうとした瞬間




「…隆志?、―――んなトコでなにしてんだよ…」



「――――……」







俺のマンションの向かい側にあるアパートの塀にヤンキー座りで寄りかかり座る隆志。




俺に気づいたのかまるで眠りから起こされたかの様な仕草で顔をゆっくりと上げた。




俺は携帯をケツポケットに突っ込みながら隆志に近ずく。



「惇爆睡してる、ま、安心しな?」



「―――そか…
寝たか………」





隆志の隣に俺もヤンキー座りで座ってやる。




幾らか寄りかかると背中がひやりとした。



つか雨で濡れてるんだから当たり前、まあもう気にしない事にしてそのまま寄りかかっとく事にした。





それにこんな時間こんなとこ座ってたって邪魔にはならないだろうし、それに幾ら惇が爆睡かましてるとはいえ横で病状を聞くのも何か違う気もするから。





「――今日は強い安定剤入りまくってるから…、一端寝たら暫く目醒まさないらしい」




「そっか…、安定剤って睡眠薬と一緒らしいからな…」




「――――はあ…」




なんかまたうつ向く隆志。





「どした?ケンカでもした?」





隆志は頭を緩く左右に揺らす。




「―――そっか…じゃあ惇が一人でヘソ曲げたのか?」





頭をまた揺らしながら




「ちが……、何も……惇は……、惇……
はあ…―――――




会いた…い……
惇に………」





すると隆志は俺に寄りかかり、肩に頭を乗せてきた。




「なんだよ、甘える相手間違ってっぞ?
――全くおまえら今日はなんか……」





何気なく隆志の腰に腕を回した……瞬間、手の平がベタリとヌルついた。





「隆志まさか来る途中転んだ?ダセ…」




雨にしてはびしゃりすぎて…。




ポンポンと腕を叩くと今度は全体重かけてきた。




「アハハ!重いってば!おい!ひっくり返ったらシャレになんねーよ!」





濡れたアスファルトに片手をついて上体を支える。




「なあ隆志、もう甘えんの止め…な?




――――隆志??」


「―――裕斗……ごめん……、
助け…て………」



「―――――」






何気なくみたぬるつく手の平……




それは真っ赤に染まっていて……



「―――たか…し………?」

「――――……」




「隆志!!」

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