《MUMEI》
『ゴレンジャー!』
俺の名前は赤石。


俺には幼稚園の頃からずっと叶えたかった夢がある。高校を卒業して、必死に働いて貯めた貯金が100万になった20歳の今、ようやく夢を叶えるんだ!


“よしっ!
ついに俺の夢が叶う!”


俺は早速、仕事を辞め北海道へ向かった。


ある男に会うために…。


『よ〜!赤石!!
久しぶりじゃん。』


『…おう。』


そう。この陽気に話し掛けてきた男こそ、俺がわざわざ北海道まで会いに来た…


“青木だ!!”


『どうしたんだよ?
急に会いに来るなんて言うから驚いたじゃん。
幼稚園からだから十数年ぶりか〜。』


『…おう。』


俺は思い出話をしに来たんじゃない。
早速、本題に入る。


『…あのさ。青木に頼みがあるんだ…。』


『…頼み?何だよ?』


警戒した青木が後づさる。


俺は青木の腕を掴み、頼み込んだ!!


『…これで、この金でイケメンになってくれ!!』


俺は10万円渡した。


『…って何だよ急に?』


『頼むよ。俺の夢がかかってるんだ!この金でエステと美容院に行ってくれ。』


『はぁ〜?』


呆気にとられている青木に10万円を無理矢理渡し、俺はその場を立ち去った。


『1ヶ月後にまた来るからそれまでに、そこそこイケメンになっといてくれよな〜!!』


最後にそう叫んでおいた。


青木…
こいつは幼稚園の同級生。そもそもこいつに出会ってしまったから俺の夢が始まったんだ…。
十数年ぶりに会う青木は、浪人生だった…。
髪はボサボサで顔色が悪い。
…これでは“俺の夢”が叶わない!
なんとしても1ヶ月後には[そこそこイケメン]になっていてくれ。
…頼むぞ!青木!!


俺はそう願いながら次の人物に会うべく、静岡へ向かった…。

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