《MUMEI》
吐キ気
「う……えっ…ゲホッケホ……」

――何だろう…。最近から吐き気が続いてる。

「最悪……」

……原因がわからないことにも、そのせいで調子が悪い自分にもいらついてる。

「早苗さ―ん!どこですか―?レコーディング始めるそうですよ―??」

私より年下のスタッフが呼んでいる。

行かなくちゃ…。

ふらつきながらトイレから出る。

「あっいたいた!ずっと探してたんですよ〜。早く行かないと」

「わかったから引っ張らないで!」

やっぱりまだ子供。人の顔色に気が付かない程自分の仕事に夢に一生懸命。

「お―い新入り!早苗ちゃん連れて来たか」

「ハイ!!」

このあと病院行ってみよう。ただの疲れじゃないことくらい自分でもわかる。

あんまり調子が悪いのが続くようなら、仕事に支障をきたしてしまう。

「じゃあ始めようか」


***


『ハイ、早苗さん!?』

「あ…流理さん?急にごめんなさい。ちょっと……会って話したいことがあって」

『今ちょうど仕事終わったばかりなんで、早苗さんさえ良ければこれからでも大丈夫ですよ』

「でもお疲れじゃ…」

『全然大丈夫ですよ。それに早苗さん…早い方がいいでしょ?』

あ……。見透かされてる。

「じゃあ……お願いします」

『それじゃあどこか適当な店にでも入って待っててください。後で連絡お願いします。今から支度して来ますから!』

「わかりました」

――ピッ

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