《MUMEI》

聖ちゃんは床に落ちたTシャツ拾ってサッと着込む。俺もボクサーパンツ履いた。
「ぱ、パンツ!どこ?」
さっきからハイハイして移動してるのがおかしい。犬みたいで可愛い。
「俺持ってる…」
「頂戴!」
膝立ちで俺に手を伸ばす。
「ヤだって言ったら?」
聖ちゃんのボクサーパンツクルクル回しながら言った。
「ば…!ば、ばか!イイから寄越せ!」
俺に掴まってよじ登る様に立って腕を上げる。面白いからパンツ上に上げて意地悪すると聖ちゃんはジャンプしだした。

24センチの身長差、腕の長さの違いじゃ、どんなにジャンプしたって届く訳ない。
つかジャンプしてもローターが抜けない事に感心してしまいそこを見下ろして見いっていると…

トントン…
「俺だけど〜、開けてヨかと?」
思わず固まっている聖ちゃんに俺はパンツを履かせながら
「…――一分待て」
と言った。
「やっぱ長沢いたのか〜?わりいなぁ、アハハハハ!」
「―――」
ショートパンツも履かせてリモコンは脇ポケットに入れて。
聖ちゃんは分かってるんだか何だか、されるがままつっ立っている。
俺からドアを開けるといつものアホ面の日高が頭をかきながら立っていた。
「悪い悪い!どうしても急用でさ〜、あ?長沢パンツ一枚で…、やっぱ今エッチの最中だった?」
「いや、終わったとこだから…、な?聖」
「う、うん…」
振り返ると慌ててベッドを直す聖ちゃん。

ちょっと面白いかもって…、この前の事もあるし今日は日高を利用しよう。

「ほら、入れよ、」
作り笑いで微笑んでやると日高はウキウキしながら中に入ってきた。

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