《MUMEI》

◆◇◆

 女房達は神夜の姿を見、安堵の色を浮かべた。

「神夜姫様、お目覚めにございますか」

「付かぬ事をお伺いしますが‥昨夜‥どちらかにお出かけに‥」

 いいえ、と浅葱が口を挟んだ。

「姫様はお出かけにはなられて居りません」

 女房達はきょとんとしたが、それ以上言及する事はしなかった。

 深々と姫君に頭を下げ、そのまま局(つぼね)へと引き返して行ったのである。

 浅葱は、ほう、と息をつき、振り返ると囁いた。

「もう大丈夫です、若君様」

◇◆◇

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