《MUMEI》 大広間に客人を集め、最後の競りが始められた。 床は前日に使用人達が隅々まで磨き上げて、鏡のようだ。 一列に品を配置し布に被せて在る。 布が剥がれた品から競りが始まる。 一つ一つ、確実に買われてゆく。 そして、最後、林太郎が任された絵画の番になる。 拾円からの始まりだ。 参拾八円までに跳ね上がる。 参倍の値が付いた、此こ値なら兼松も納得するだろう。 「――――――伍拾」 部屋に引っ込んでいた木乃伊が現れた。 前へ |次へ |
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